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「死亡説にネット騒然!」「死後は全財産を寄付?」バリバリ現役アジア映画スターの隠れた名作『NYPD15分署』

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ライター:#BANGER!!! 編集部
「死亡説にネット騒然!」「死後は全財産を寄付?」バリバリ現役アジア映画スターの隠れた名作『NYPD15分署』
『NYPD15分署』© New Line Productions, Inc.
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90年代末の隠れた名作『NYPD15分署』

ニューヨーク、チャイナタウンで中国系マフィア同士の縄張り争いが勃発。若手新興勢力<福建ドラゴン>が、古くからこの街を牛耳るアンクル・ベニーの組織を相手に過激な戦闘を開始した。

この抗争の真っ只中に飛び込んだのはNYPD(ニューヨーク市警)15分署のベテラン刑事チェン(ユンファ)と、正義感に燃える新人の白人刑事ウォレス(ウォールバーグ)。

仕掛けられた罠、次々と送り込まれるヒットマンたち。果たして彼らに生き残る道はあるのか――。

『NYPD15分署』© New Line Productions, Inc.

原題は『The Corruptor(腐敗者/堕落者)』で、そのタイトルどおりチェン刑事はマフィアと持ちつ持たれつの関係にある。そこに街の事情に疎い若手刑事ウォレスが赴任してきたことから、お互いの事情が絡みつつややこしい事態に拍車がかかっていく……というのが物語の大筋。『トレーニング デイ』(2001年)を彷彿させる設定ではあるものの、往年の凸凹バディものの趣もある。

『NYPD15分署』© New Line Productions, Inc.

ユンファ主演の刑事モノと聞けば、やはり2丁拳銃でバンバン……な殺伐としたノワールをイメージしてしまうが、むしろ本作のウリは、そうしたユンファ・アクションをあまり見せないところにある。本筋は冷酷な権力と治安維持の狭間で苦悩する刑事たちの立ち回りで、チェンとウォレスらの丁々発止のやり取りがキモ。その合間に『ヒート』(1995年)もかくやの銃撃戦など激しいアクションが挟み込まれ、警察組織内のゴタゴタと相まって緊張感を高めている。

『NYPD15分署』© New Line Productions, Inc.

ユンファの父性とウォールバーグの舎弟感が好マッチング

本作の翌年にはアカデミー賞を席巻した『グリーン・デスティニー』(2000年)が公開されるなど、まさに00年前後はユンファの時代だった。サスペンスフルな刑事ドラマながらユンファの人柄、人懐っこい魅力が炸裂していて、屈託なく爆笑する姿などは香港だけでなく台湾や韓国でも愛され続けている理由がよく分かる。また、常に相棒を気遣う頼れる兄貴分としての存在感だけでなく、弱った家族をかいがいしく介抱する姿などは父親のような包容力も感じさせる。

『NYPD15分署』© New Line Productions, Inc.

また、スーパーマッチョな役柄で人気を博しているウォールバーグが弱み満載の新米刑事を演じていて、持ち前の舎弟バイブスがいい方向に作用。今ではムキムキ系スターという印象が強いかもしれないが、こういった役で地道に存在感を示してきたからこその現在であり、彼の印象がガラリと変わるほどの好演だ。

『NYPD15分署』© New Line Productions, Inc.

監督は『アフター・ダーク』(1990年)や『摩天楼を夢みて』(1992年)のジェームズ・フォーリー。チンピラの股間に突きつけた銃をライターの火で殺菌(?)するなど、思わず2度見する細かい演出が随所に光る。不器用な男たちの熱い友情に思わず感涙するラストまで、あっという間の1時間40分だ。

『NYPD15分署』© New Line Productions, Inc.

ちなみにユンファは2017年にネット上で死亡説が流れ、夫人が否定するという珍事もあった。また夫人は死後に全財産を寄付するとも公言しており、基金の設立も検討しているという。金銭には無頓着だというユンファらしいエピソードとも言えるが、まだまだ映画界で活躍してほしい、アジアが誇るスーパースターだ。

『NYPD15分署』はCS映画専門チャンネル ムービープラスで2024年12月放送

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