トム・クルーズも大絶賛!『トップガン マーヴェリック』に比類する今夏最高の体感映画『ツイスターズ』はスピルバーグ製作の竜巻モンスター映画
デイジー・エドガーやグレン・パウエルの魅力が炸裂!
本作がエンタメとして楽しめるのは、もちろんキャストの貢献もあってこそ。デイジー・エドガー=ジョーンズ演じるケイトは、まるで薄い陶器のような繊細さの中に芯は曲げない強さと賢さが滲み出ていて、誰もが応援してしまうであろうヒロインぶり。実はめちゃくちゃインテリなのだが、田舎育ちの奔放さを垣間見せるところが猛烈にキュートだ。
ケイトとは一見正反対のように見えるものの、彼女の“おきゃん”な部分と共鳴するのが、グレン・パウエル演じる竜巻チェイサーのタイラー。ムチムチに鍛え上げられた肉体と、確かな知識に裏打ちされた自信で多くの竜巻ファンを惹きつけるカリスマぶりは眩しいばかり。吹替の津田健次郎ボイスもハマりすぎで思わずニヤリとしてしまう。
『ツイスターズ』©︎2024 UNIVERSAL STUDIOS,WARNER BROS.ENT.& AMBLIN ENTERTAINMENT,INC.
そしてアンソニー・ラモス演じるケイトの旧友ハビは、竜巻リサーチ会社の若きCEO。彼もケイトも“生存者の罪悪感”に囚われている感があるのだが、ラモスが持つ“ラテン系のファン・ジョンミン”とでも例えたくなる人間くささが非常に魅力的で、物語的には損な役回りでもあるのだが、随所で重要なカギとなる存在だ。
また、青山穣が吹き替えるジャーナリストのベンもコメディ・リリーフとして超優秀。ほかにも『ヘルボーイ』(2019年)などで大活躍中のサッシャ・レインや、『NOPE/ノープ』(2022年)で鮮烈デビューしたブランドン・ペレア、『マンダロリアン』(2019年~)シーズン3に登場し強烈な印象を残したケイティ・オブライアンなど、竜巻チェイサーのメンバーたちにも注目したい。
ハビ率いるリサーチ会社(インテリ)とタイラー率いるチェイサー(愚連隊)の対決構造は、モンスターの“取り扱い”をめぐって対立する怪獣映画のようで、映画ファンの心をくすぐる。それがケイトとタイラーの凸凹コンビの結成を期待させつつ、安易な恋愛展開に持ち込まないところも好ポイントだ。
『ツイスターズ』©︎2024 UNIVERSAL STUDIOS,WARNER BROS.ENT.& AMBLIN ENTERTAINMENT,INC.
なぜ“人情派”のアイザック・チョン監督が抜擢されたのか?
なんでもエンタメ化するアメリカらしく、竜巻だって立派なショーに仕立ててしまう。愛好家たちが竜巻モンスターを追って全米各地をツアーする様は、デッドヘッズならぬ「ツイスターヘッズ」とでも呼びたくなる熱狂ぶりだ。その象徴的存在が、中継動画配信でカリスマ的な人気を誇るタイラー。ただし、そこに搾取的なごっつぁん構造はない。
『ツイスターズ』©︎2024 UNIVERSAL STUDIOS,WARNER BROS.ENT.& AMBLIN ENTERTAINMENT,INC.
カイジュウが踏み荒らした街はフィクションだが、竜巻には実際に被害者がいて、誰もが人生を左右するような決断を迫られている。映画的には脇役である被害者たちの姿を終盤の重要なシーンに据えたのは、たびたびアメリカ内陸~南部に甚大な被害をもたらしている竜巻モンスターに対し、製作陣が真剣に向き合った結果だろう。
また、登場人物たちが“双子の竜巻モンスター”と対峙した際に「藤原の効果(Fujiwhara Effect)」という言葉が出てくるように、どこかで聞いたことがある気象学用語も飛び交う。「竜巻は、半分科学(見えるもの)で半分宗教(見えないもの)」というセリフなどは、おもわず普段使いしたくなるような含蓄にあふれている。
『ツイスターズ』©︎2024 UNIVERSAL STUDIOS,WARNER BROS.ENT.& AMBLIN ENTERTAINMENT,INC.
天気を司るものは、人命を救うことができる――。本作は“現実世界に存在するモンスター”を描いた映画であり、『ミナリ』の大ヒットで人情派というイメージが強かったアイザック・チョン監督の抜擢が大正解だったことも証明した、あらゆる映画ファンにおすすめしたい傑作である。
『ツイスターズ』は2024年8月1日(金)より全国公開
『ツイスターズ』
気象学の天才ケイトはニューヨークで自然災害を予測し被害を防ぐ仕事に熱中していた。そんな中、故郷オクラホマで史上最大級の巨大竜巻が群れをなして異常発生していることを知る。竜巻にトラウマを抱えたケイトだったが、学生時代の友人ハビからの懸命の依頼で、夏休みの一週間の約束で竜巻を倒すために故郷へ戻ることに。そこで出会った知識も性格も正反対の竜巻チェイサーのタイラーら新たな仲間と、無謀ともいえる“竜巻破壊計画”に立ち向かっていく。
監督:リー・アイザック・チョン(『ミナリ』)脚本:マーク・L・スミス(『レヴェナント:蘇えりし者』)
製作:フランク・マーシャル(「ジュラシック・ワールド」シリーズ、「インディ・ジョーンズ」シリーズ、)パトリック・クローリー(「ボーン・アイデンティティー」シリーズ)
出演:グレン・パウエル(『トップガン マーヴェリック』)、デイジー・エドガー=ジョーンズ(『ザリガニが鳴くところ』)、アンソニー・ラモス(『トランスフォーマー/ビースト覚醒』)、ブライドン・ペレア(『NOPE/ノープ』)、キーナン・シプカ(『サブリナ:ダーク・アドベンチャー』)、デイビッド・コレンスウェット
制作年: | 2024 |
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2024年8月1日(金)より全国公開